ジェミーの散らかった部屋

りんごを丸かじりします

人間の意志

私はあまり人に対して怒りません。怒らない人間というわけではなく、しょっちゅうキレ散らかしているのですが、問題は大抵個人ではなく、背後にある社会やその構造、コンセンサスにあるため、個人に対して怒りをぶつけることがあまりありません。 先日美容院…

えげつない祖父

私は祖父を知らない。彼は50代で早逝した。どの孫の顔も見なかった。 私は祖父がいわゆる昭和の怖い親父であるような話を聞いていた。しかしあるきっかけからとても興味深い人物に思えた。彼の若い頃を知るべく祖父の知己である松沢さんという方の居所を祖母…

狂気について

生きていると、沈んでいく。朝起きて、歯を磨いて、ご飯食べて、毎日の義務をこなし、風呂に入り、寝る。同じところに住んで、退屈が身体の内側から腐っていく。ありきたりの趣味で時間をつぶすと、指から砂のように溶けていく。同じことばかりしていると、…

Arezou

イランのテヘランでバスを待っていると、若い男性が話しかけてきた。どこから来たの、自分はイランどこどこの出身で、など他愛もない話をしていたら、英語が話せる色んな人が集まってきた。その中のひとりにArezouという女の子がいた。彼女はゴルガーンとい…

温泉街

ほくほくの湯気 漆喰の白壁 渋い木の屋根 オレンヂのガス燈 大正モダン 赤、青、白、雪駄 ビー玉きらきら 昔はすべてが美しかったのか 残されたものだけが美しいのか 考える 東京に戻って 箱のような家を見ながら 考える 美しいものだけ見て生きていたかった

こんにちは、暗闇

こんにちは、古い友達 彼は自由な人だった 皆に笑顔を返しながら だれにも届かない場所へ行っていた いつからだろう 自分が自分であることに価値がなくなった あなたがあなたであることに価値がなくなった いつからだろう それはわかりきっていた それがくる…

ノスタルジアの主題と水の表現

第1章: 導入 ノスタルジアとは普遍的な、全人類的な感情である。しかし、タルコフスキーが述べるところによると、ロシア人にとってのノスタルジアはより深く、根深いものである。 「ロシア人は、新しい生き方に簡単に適応することはめったにありません。同化…

あの夏と本

日に照らされて明るく光るひまわりに太陽を見た。真っ青な空に入道雲が立ちのぼっている。世界があんまりまぶしくて目がくらくらした。蝉の声は日夕しみわたっていて、いつも傍にいるかのような親しみを覚える。日本の夏は豊かである。 学部二回生の夏休みは…

東京フォビア

東京にはすべてがあって、なにもない。 私は東京生まれで、一応江戸っ子でもある。 小さなころは東京に、江戸を感じていた。 夏の運河の少し焼けた潮の匂い。築地市場で喧しく行われる競り。 神保町の古本街、数学の本を買ってもらった八重洲ブックセンター…

フィッシャー『資本主義リアリズム』を読んだ

自由を愛しています。世界が嫌いです。 ここから逃れるために長い旅に出ました。 古代の文明に胸を高鳴らせて、中国に行きました。 昔の偉大な国々を思い巡らせ、トルコにたどりつきました。 イスラム文化に憧れて、イランに旅立ちました。 サガンのような内…

タルコフスキー 「鏡」解説

タルコフスキー「ノスタルジア」解説

映画「卒業」解説

以前行った映画卒業の解説スライドをアップロードします

西洋映画史一覧(1930~1990年代)

主にトルコ~スペイン、フィンランド までの欧米映画でシネフィルが見てそうで自分が見たい映画をまとめました。 1930~1940年代 映画が生まれてからしばらく経って、様々な手法が確立されていった時代。 トーキー(音声のついた)映画が発明されて、無声映画…

雪の貴船神社までプーと百万遍から歩いた (15.2 km)

白が積もる柿 厚さを踏む音 身体の内から火照る吐息 遠山にかかる綿雪の霞 悲しい鳥の鳴き声 靴の裏から伝わる冷たさ はじめに 一昨日未明から昨日まで、京都に雪が降りました(2020年12月16日〜2020年12月17日)。京都は一年に一度雪が降るかどうかの気候の…

「シルヴィアのいる街で」解説 映画の印象派としてのホセ・ルイス・ゲリン

ため息が出るほど美しい、というのは平凡な表現ですが、シルヴィアのいる街はその言葉がぴったりな映画だと思います。この映画が私たちに開示する映像美と爽やかな心情は、外界と内面の優美な均衡をもたらし、どこか美しい異国へ誘われていった感覚をもたら…

音楽と人生 1 ーボロディン『イーゴリ公』「ダッタン人の踊り」についてー

風の翼に乗って 故郷へ飛んでいけ 祖国の歌よ そこで私たちはのびのびと歌い あなたと自由に過ごしていた そこでは灼熱の空の下 大気は幸福に満ちている そこでは海が優しく語らい 山は雲に囲まれ夢を見る そこでは太陽が煌煌と輝き 故郷の山は光を注がれる …

私の知らないウイグル

砂漠と空。地平線。太陽は静かな暴君として砂漠の隅々まで己の支配を行き届かせ、大地はその広大な懐で太陽を照り返す。黄金のまぶしい大地は空をより青く見せる。この紺碧と金色は絵の具で描いたように力強く融和する。ここは草木一本たりとも育つことを許…

学ぶことについて

「新しいものが良いものであることは稀だ。良いものが新しいのはほんの束の間だから。」----ドイツの諺 「学ぶ」と言えば勉強や教科書を読んだり問題を解いたり論文を読むことが想像されるように、受験の対策からひいては自分の専門・職業になるような学びが…