生きていると、沈んでいく。朝起きて、歯を磨いて、ご飯食べて、毎日の義務をこなし、風呂に入り、寝る。同じところに住んで、退屈が身体の内側から腐っていく。ありきたりの趣味で時間をつぶすと、指から砂のように溶けていく。同じことばかりしていると、価値のない永劫回帰を思い知らされる。
そこで私は人生に少しの狂気を取り入れて、風通しを良くすることで、生の延長に耐えることとしている。
しかし、狂気というやつは、はじめこそ狂気と感じられるものの、継続してしまってはただのありふれた日常と化してしまう。
これまで私が継続してしまった狂気と、一度きりの狂気を思い出すことで、床の染みと化した現在をいかに狂いで満たし生を延命させるか、考えてみたいと思う。
継続狂気① プーを飼う
プーと呼んでいるのは、ディズニーのプーさんというキャラクターの90cm(とてもおおきい)のぬいぐるみのことです。当該プーがうちに居候しており、長年飼っています。飼うと表現するのは、プーが3mの巨大クマになるまで、ご飯を与えたり、海を見せたり、庭園でのんびりしたり、一緒に旅行したり、立派な大人になってもらえるように様々な経験をさせてあげているからです。
はじめこそ、プーを外に連れて行ったときは頭が狂ってるんじゃないかと思いました。心が弱い人間と勘違いされて宗教勧誘されました。しかし、毎日一緒に暮らし、よろこびを分け合う中で、完全に日常と化していき、プーと喫茶店に行くのも何でもないありふれた毎日になってきました。プーを飼うことが狂気というよりは、プーを飼うことによって正気を保つようになってきました。
一度きりの狂気① ユーラシア大陸横断
学部のときに、トルコから中国までユーラシア大陸横断をしました。足を踏み入れた国は、ロシア、トルコ、イラン、カザフスタン、ウズベキスタン、キルギス、中国。移動距離3万km。横断の理由は、今行くしかない、と思ったからです。毎日鬱屈とした生活を送っており、専門外の勉強をする以外何をするでもなかった時に、自称耶律阿保機と名乗る東大生を友人に紹介されて、その人今キルギスいるよと言われました。じゃあ行くか、ついでに知りたかった国全部行っとこうということで、航空券から複数国のビザまで全てを1ヶ月ほどで手配して、行ってきました。元々世界史、特にペルシャや中国の辺境民族の歴史が好きで、憧れがありました。なお、旅行自体は日常の延長感があってあまり好きではありませんが、大陸横断は文化の変化目まぐるしく面白かったです。
継続狂気② コウテイペンギン至上主義
2023年9月に、コウテイペンギン至上主義(英:Emperor Penguinists)という環境保護団体をはじめました。コウテイペンギンを崇拝し、コウテイペンギンはいればいるほど良いという理念のもと、コウテイペンギンの減少を止めるため、海洋動物全体の保護活動に取り組む団体です。南極を含む地球環境は年々悪化しており、我々は危機感を持って野生生物の保護に取り組みます。理念は異常ですが、中身は真面目に環境問題や研究・教育活動を行っています。
ホームページ↓
https://emperorpenguinism.com/
一度きりの狂気③ コウテイペンギンになる
コウテイペンギンが尊すぎて、コウテイペンギンになりました。コウテイペンギンの姿で、遊びや会社に行くなどあらゆる社会活動を実施していました。
継続狂気③ 京都の亡霊
京都で大学を過ごした人は京都の亡霊になると言われていますが、私も例外なく京都を思い続ける妖怪となってしまいました。なおこの話は時効になるまであまり詳しく書けません。気になる方は左京区を深夜に飛んでる火の玉に話しかけてみてください。「まから」が合言葉です。
一度きりの狂気④ 語学
語学ほど続けないと意味のないものはないですが、かつてフランス語、ロシア語、キルギス語、ドイツ語に手を出しました。大学サボって勉強しまくったためフランス語は2ヶ月半でフランス語検定2級筆記に合格したのですが、今はもう怪しくなっています。因みに英語もかなり怪しいです。
そろそろ書くの飽きてきました。ここから箇条書きにしていきます。
一度きりの狂気
⑤ 卒業式で本になる
⑥ 家の床を宇宙にする(賃貸)
⑧ 南無大師遍照金剛スタンプの作成、家で護摩行を実施
⑨ 何とは言わないが、大学美化活動
⑩ 鞍馬天狗になる
継続狂気
④ 拾った動植物をその場で食べる
⑤ 一人バレーボール(自己啓発)
⑥ 遊牧民になる
⑦ 半年に一度引っ越す
⑧ 寺で修行
まとめ
過去の異常行動を振り返っているとただ単に懐かしくなって思い出に浸りはじめてしまいました。
振り返ってみても、やはり、はじめて何かを実施するときは、霧が晴れ、朝日が輝き、はじめて色が見えたように世界が美しく見えるものです。しかし継続してやってることも一度やったことも、はじめてでなければ当たり前のことになってしまいつまらない日常に沈んでいくもののです。
つまり、振り返ってみても何も得なかったわけですが、何か面白いことやりたい人は声かけてください。